電子レンジ500Wと1000Wで電気代はどれだけ違ってくる?
毎日便利に使用している電子レンジですが、電力に関しては意外に曖昧な認識のまま使用していること多いですよね。
例えば
- 500Wとか1000Wってあるけど、電気代にどれくらい差があるのだろう?
- レシピに600Wで○○分とあるけど、ウチのレンジには500Wと1000Wしかない。時間設定はどうすればいいの?
などなど、常日頃疑問に思ってはいるものの「まあ、いいか!」と流している事柄って少なくないと思います。
そこで今回は、電子レンジのワット数の違いが電気料金にどのように影響しているのか、また、どうすれば節電できるのかなどについてご紹介してみていたいと思います。
意外!?「500W」「1000W」はレンジの消費電力ではありません
電子レンジは「500W」「1000W」などのボタンがありますが、このワット数、実は消費電力を示したものではありません。
とはいえ、500Wや1000Wという表記があれば、誰でも消費電力だと思ってしまいますよね。
そして、消費電力の数値が高ければ高いほど電気料金が高くなると考えるのも当然のことです。
では、これらのワット数は一体何を表しているのでしょうか?
500Wや1000Wといった数値は何を表しているの?
電子レンジのボタンなどに表示されているワット数は、実は電子レンジのマイクロ波出力の「定格高周波出力」という数値を示しています。
この定格高周波出力とは、簡単に言うと「電子レンジの庫内に入れた物を温めるのに使われるエネルギーの強さの基準」とも言えるものです。
そのため、乱暴に表現すると「数値が大きければ大きいほど、温める力が高い」ということになります。
ちなみに、この定格高周波出力は電気用品取締法で定められた方法で測定されているため、電機メーカー間で試験が異なり数値がばらつくなどの問題はありません。
そのため、メーカーによってレンジの比較が難しくなるということはないので安心してくださいね。
定格高周波出力と消費電力は違うの?
定格高周波出力は「レンジの庫内に入れた物を温めるのに使われるエネルギー」だとご説明しましたが、ここで「使用されるエネルギーを指しているのであれば、消費電力と同じなのでは?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃると思います。
実は、電化製品を使用する際、必ず「変換ロス」というムダな電力が生じてしまいます。
例えば、白熱電灯を点灯すると電球自体が光るだけでなく、手で触れると熱い!と感じるほどの熱も生じますよね。
しかし、電球の役割から考えると、この熱は「不必要なもの=変換ロス」と言えます。
同様に、電子レンジでも「温める」という部分以外に使用されてしまう電力=変換ロスが生じてしまっているのです。
ですので、電子レンジの消費電力は「定格高周波出力と変換ロスの値の合計」ということになります。
とはいえ、電子レンジの場合は変換ロスだけでなく、制御回路や各種センサーなどに使用される電力も含まれてきますので、消費電力チェッカーなどで測定すると、想像以上に高い数字がでることが多いようです。
ワット数によって消費電力はどのくらい違ってくるの?
実際に、私の家の電子レンジと消費電力チェッカーを使用して、600W設定時の消費電力と1000W設定時の消費電力を測定してみましたので、参考にしてみてください。
なお、測定方法は庫内にガラス製のコップに入った250ccの水を1分間温めるというシンプルなものとさせていただきました。
チェッカーの目安電気料金は「1kWhあたり28円」に設定しています。
測定結果
消費電力 | 1分あたりの電気料金目安 | |
---|---|---|
600W | 1180W~1200W | 0.38円 |
1000W | 1240W~1310W | 0.46円 |
この結果を見て、ほとんどの方が次のような点で意外に思われたのではないでしょうか?
- 600Wと1000Wで消費電力にそれほど大きな差がない
- 600Wの方は1000Wと比べて変換ロス・その他の電気量が大きい
600Wと1000Wでは1.7倍近い差があるにも関わらず、消費電力にも電気料金にもそれほど大きな差がないというのは驚きですよね。
料理の時などに、1000Wのような大きな数値のボタンや設定を使うことを控えているなんて方も多いかもしれませんが、実際には500~600Wを使用するのとそう大差ない消費電力で済みます。
そのため、電子レンジを使用する際は消費電力を気にせず、調理や温めに適したワット数の設定を行うことが大切だということを、ぜひ覚えておいてくださいね。
なお、電子レンジのパンフレットや説明書には「年間消費電力量」という記載があり、一般的な商品の場合はおよそ60kWhとなっています。
これを元に電気代を計算すると、電子レンジの年間の電気代は、約1680円(1kWh=27円計算)となりますので、参考にしてみてください。
調理にかかる時間とW数の計算方法とは?
レシピや冷凍食品のパッケージなどを見ると「600Wで○○分」「1200Wで○○分」といった記載があります。
しかし、レンジをみてみると600Wや1000Wのボタンしかない!なんてことも多いと思います。
こんな時、どの程度の時間で温めればよいのか判断が難しいですよね。
そんな時に役立つのが、目安となる温め時間を出せる次のような計算式です。
実際の温め時間=記載された温め時間×(記載されたワット数÷レンジのワット数)
例えば、レシピに600Wで5分と記載されているのに、レンジに500wのボタンしかない場合は「5×1.2」で6分となります。
この式を覚えておくと、調理や温めの際に目安時間を簡単に出せるので便利ですよ。
ただ、この式で出せるのはあくまで「目安時間」のため、温めすぎ・温め時間不足になることも少なからずあります。
また、電子レンジには機種ごとの特徴やクセなどもありますので、適切な温め時間は最終的に自分で判断することが大切だと言えるでしょう。
電子レンジ調理の消費電力を節約する3つの方法
電子レンジ調理は日常的に行うものですので、日々ちょっとした節約法を実践することで、年間数百円程度の節電が可能だと言われています。
ここで、簡単にできる節電方法をご紹介しますので、良ければ参考にしてみてくださいね。
レンジ内をキレイに保つ
庫内に汚れが残っていると、その汚れにマイクロ波が反応してしまい、肝心の食材や冷凍食品などが効率よく温められなくなってしまいます。
また、長く残っている汚れは焦げ付きや発火などを引き起こす危険性もあります。
そのため、電子レンジの庫内やターンテーブルは定期的に清掃を行い、常にキレイな状態を保っておきましょう。そうすることで温め効率が上がり、ムダな電力を消費しなくてよくなりますよ。
庫内の掃除方法はこちらです。
- 固く絞ったウェスなどで、庫内の汚れを定期的に拭き取る
- ターンテーブルは取り外してスポンジで汚れを落とす
- 頑固な汚れがある場合は、耐熱ボウルに重曹水を入れ2~3分ほど温める。その後、扉を開けずに5分ほど放置して庫内を蒸らし、浮いた汚れをウェスなどで拭き取る
レンジを使用する時間帯を工夫する
最近は電気料金プランも多彩になり、使用する時間帯によって電気料金が変動するというご家庭も増えてきています。
「夜間の電気料金がお得になるかわりに、日中の料金は高め設定」なんてプランを導入している方も多いのではないでしょうか?
しかし、こういったプランの場合、ピークタイム中の電気料金は電気料金が安い時間帯の4~5倍になるといったことも少なくありません。
電子レンジを使用する際は、できるだけピーク時を避け、料金が安くなる時間帯を狙うようにしましょう。
ターンテーブルの場合は、なるべく外側に物を置く
ターンテーブルタイプの電子レンジは、庫内の真ん中よりも外側の方が温まりやすいという特徴があります。
調理や温めの際は、なるべくターンテーブルの外側に物を設置しましょう。
なお、フラットタイプのレンジの場合は、逆に真ん中の方が効率良く温めができます。
また、どちらのタイプの電子レンジも、庫内に物を詰め込みすぎるとマイクロ波が効率よく当たらなくなるため、うまく温めができなくなってしまいます。
電気代を考えて、温め回数を減らすために一度の多くの食材を庫内に入れてしまっては逆効果。
回数を分け、一度に適度な量の食材を温める方が効率が良いということを覚えておきましょう。
今回ご紹介した電子レンジの節電方法は、3つとも気軽に行えますし、日々の習慣にも取り入れやすいものばかりだと思います。ぜひ、試してみてくださいね。