電気代滞納の利息と解約 | 対応は新電力と大手電力会社で変わる!
電力自由化で電力会社を乗り換える時、料金プランの安さは存分にアピールされていますが電気料金の支払いを滞納した場合について解説されることはありませんよね。それでも契約前に知っておくべき、新電力と大手電力会社における滞納時の対応の違いを比較してみましょう!
電気代滞納の利息にも差がある
まず始めに、ここでいう大手電力会社とは東京電力や関西電力といった電力自由化以前に地域を独占して電力を供給してきた電力会社のことです。一般電気事業者とも、地域電力とも呼ばれます。
それでは全国に10社ある大手電力会社の延滞利息を見てみましょう!
東京電力エナジーパードナーの場合:年10%(一日あたり約0.03%)
※関西電力・北海道電力・中部電力・東北電力・北陸電力・中国電力・四国電力・九州電力・沖縄電力も同率です。
そう、大手電力会社の利息は全て同じ年10%です。滞納から電気を止めるまでの期間には差がありますが、支払期限を超えても10日間なら延滞利息が発生しないところもあります。(中国電力、九州電力、北陸電力、四国電力、中部電力、北海道電力)
余談ですが、中国電力の早収料金・遅収料金制度は2017年から延滞利息制度に移行しますよ!
話題の新電力の延滞利息金は?
新電力もWeb上に「約款(やっかん)」というものを公開しており、延滞利息金などの扱いは全てこちらに記載されています。今回は人気が高い新電力の電気の約款から、注目すべきところをピックアップしてきました!
東京ガスの電気
東京ガスの電気の場合、延滞利息金は一日あたり0.0274%と定められています。年単位に直すと10.001%ですね。
電気料金は支払い期限日の翌日から10日以内に支払えば延滞利息は発生しませんが、都市ガスと合算するメニューに契約している場合、都市ガス料金の延滞利息にも同様の定めがある場合に限られます。
つまり、延滞利息金発生日については都市ガスの約款に注目ですね!
H.I.S.(HTBエナジー)の場合
H.I.S.ユーザーに電気を供給するHTBエナジーの場合、支払期日の翌日から支払日の前日までの間に、年率14.8%の延滞利息金が発生します。ちょっと高くなりますね!
Looopでんきの場合
Looopでんきの約款の中には延滞利息金についての記載がありませんでした。だからといってLooopでんきは支払い遅れを許すような仕組みにはなっておりません。その理由は約款の中に記載されています!
電力会社から解約される可能性もある
今までの電力会社では、電気料金の支払いを延滞しても電気が止まる程度に留まってきましたよね?これは一般電気事業者に対し全ての家庭に電力を供給することが法律で定められており、消費者のインフラが保護されていたため。大手電力会社に「最終保障供給」が義務付けられていたために、解約されずに済んでいたわけです。
これが変わったのは平成27年6月に「電気事業法等の一部を改正する等の法律」(通称:改正電気事業法)が成立したときです。「最終保障供給」を負うのが小売電気事業者ではなく一般送配電事業者に変更されたのが大きいですね。つまりは新電力(小売電気事業者)が「最終保障供給」の義務を負わなくなったということです!
電気料金の滞納によるダメージが大きくなりやすい新電力は、既にユーザー都合以外での解約ができるように準備しています。
東京ガスの電気の場合
「当社からの電気需給契約の解約」という項目が約款にありまして、これは東京ガスの電気側から電気の契約を解除するケースについて定めているものです。
真っ先に「電気料金の支払い期限日を経過してなお支払わない場合」と記載があるように、電気料金・延滞利息・工事費負担金(ある人だけ)を支払わないでいると電気を止められるどころか解約されてしまう場合があります。
さらには仮差押えや破産、信用状態が悪化したりその恐れがあったりすると、東京ガスの電気側から電気の契約を解除できるようです。もちろん解約する前にはユーザーにお知らせするとのことですが、電気の受給契約を電力会社から解約できるようになったのもこれまでと異なる点ですよね!
信用状態の悪化まで含まれているとなると、クレジットカードで滞納しがちな方は要注意ということでしょう。
Looopでんきの場合
Looopでんきの場合、支払期日を15日経過しても料金を支払わない人に対しては電気供給契約の解約をする場合があるとしています。猶予、短いですね!
そうとはいっても、解約する15日前までにLooopでんきからユーザーに通知するとの事なので、15日経過したからすぐ解約ということにはならないようです。しかし利息を定めていない以上、支払いをゆっくり待つ姿勢には見えませんね。
東京ガスの電気に比べると解約条件はかなり少ないですが、とにかく支払期限を絶対に守ってほしいという意図がひしひしと伝わってくる約款でした。
H.I.S.(HTBエナジー)の場合
H.I.S.(HTBエナジー)からの解約条件は、第一に虚偽の申請で電気契約をしている場合について記載してあります。嘘をついたり他人の利益を害して電気を使ったら事前通告の有無によらずサクッと解約させてもらうというのが一つ目に来ていますね。
それで支払い遅延に関連する解約条件といえば、支払期日を20日経過しても支払わない場合だそうです。こちらについては解約の15日前には書面でお知らせするようですが、書面の発行手数料を1通あたり200円支払う必要があります。
電気料金を遅れて支払っても書面の発行手数料を支払わないでいれば、これも解約条件にあたります。200円の手紙が来る前に支払っておきたいところですね。
電気受給契約を解約された後はどうする?
電気代の滞納していたなら、電気需給契約を電力会社側から解除されたとしても債権債務は消滅しません。支払いが発生していた分と、今後支払日が来る予定だった料金は支払う必要があります。
それと同時に、解約された後の電気をどうするか考えなければなりませんよね。色々あって大変なときに電気の契約を受け付けてくれる電力会社が一つもなくなってしまったら踏んだり蹴ったりなんてものではありません。
次の電力会社を探すことになりますが、その時に注意しなければならないことがあります。最終供給義務を負わない電力会社は申し込みを却下することもできるからです!
新電力に申し込んだら断られることも!?
新電力(小売電気事業者)は電力供給の義務がないため、消費者からの申し込みを断ることも可能です。断る理由にはもちろん、他の電力会社での電気料金未払いも含まれます。
Looopでんきの約款では申し込み時に「料金の支払状況」を調査しており、他の電気供給契約の料金期日を過ぎて支払っていないまま申し込みをしてもお断りする事があるようです。
もしも次の電力会社を早急に探す必要があり、特に新電力を希望しているなら約款を見てから申し込むべきでしょう。そもそも、契約前に約款を見ないのはまずいですからね。
電気が本当に使えなくなる?
それでは、契約を受け付けてくれる新電力が見つからなかったらどうしましょう!解約された後の電気は誰が供給するかというと、大手電力会社の役目です。
東京電力などを含めた大手電力会社は一般電気事業者でありながらも、認可を受けた「特定小売供給約款(旧電気供給約款)」において電気を供給するよう義務付けられているのです!
電気供給約款とはつまり、従量電灯などです。一般家庭がどこの新電力と契約できなくなったとしても、地域の電力会社の従量電灯には戻ることができるのです。
今まで新電力でお得に電気を利用していたなら、従量電灯は割高に思えるかもしれません。滞納状態を早急に解消して、次の電力会社を探しましょう!
なお経営規模が小さい新電力にとって、支払いを遅延される負担は大手電力会社よりも重くなります。電気を安く提供し続けて欲しいと願えばこそ、支払い日を守るというユーザーの心構えが必要ですよ。遅延ダメ、絶対です!
電気が止まっても大手がなんとかしてくれる…はNG!
滞納グセがついている方が新電力と契約すると、料金未納で解約される可能性があります。今まで電気を止められることはあっても、解約はありませんでしたよね?これが電力自由化の大きな違いです。
せっかくお得な電気料金プランに契約できるのだから、支払いは滞りなくクリアしていきたいところ。そのためにもあなたにとって最もお得な電気料金プランを探しましょう!