太陽光発電の発電容量とは?混同しやすい発電量との違いと設置目安を徹底解説

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太陽光発電の発電容量とは?

太陽光発電システムを自宅に設置する際、まず考えるべきは発電容量です。一年間にどれだけの電力を生み出したいのか、パネルを何枚設置すれば良いのか、これらの疑問は発電容量に密接に関係しています。

発電容量の選定は、設置コストや収益性に直結するため、太陽光発電を検討する際には「容量」の概念をしっかり理解しておくことが重要です。そうすることで、見積もりの内容がより明確に把握できるようになります。

この記事では、発電容量の基本、よく混同されがちな発電量との違い、そして住宅用太陽光発電の適切な設置サイズについて詳しく解説します。

発電容量に関して疑問や不安をお持ちの方は、ぜひご一読ください。

発電容量について

発電容量とは、太陽光発電システムがどれだけの電力を生み出せるかを示す数値で、kW(キロワット)で表されます。「システム容量」や「出力容量」とも呼ばれます。

基本的に、発電容量が大きいほど多くの電力を発電できる大型の太陽光発電システムであると理解して問題ありません。

発電容量は、太陽光パネルとパワーコンディショナーの出力値によって決まります。

発電量と何が違うのか?

発電容量と混同しやすいのが「発電量(kWh)」です。発電容量は太陽光発電システムがどれだけ発電できるかを示すスペック値です。一方、発電量は実際に生成された電力量を指します。

「容量」や「kW」という単語が含まれている場合、それは発電量(kWh)ではなく、発電容量(kW)を指していることを覚えておきましょう。

太陽光パネルとパワーコンディショナーの容量は違ってOK

発電容量は、太陽光発電システムの発電能力を示す数値であり、太陽光パネルとパワーコンディショナーの出力のうち小さい方の値を指します。

では、太陽光パネルとパワーコンディショナーの出力を一致させる必要があるかというと、実はそうではありません。むしろ、太陽光パネルの枚数を増やすほうが有利であると一般的に考えられています。

この設計方法は「過積載」と呼ばれ、収益性を重視する太陽光発電投資家の間では広く行われています。
過積載とは?

発電容量と発電量の関係とは?

容量と発電量は異なる概念ですが、密接に関連しています。発電容量は年間発電量や売電収入に大きく影響を与えます。容量1kWあたりの年間発電量は約1,000kWh~1,200kWhで、1日あたり約2.7~3.2kWhの発電が見込まれます。

この発電量でどれだけの電気をまかなえるかについては、後ほど詳しく説明します。

発電容量で売電収入は決まります! FIT制度との関係とは?

固定価格買取制度(FIT)
発電した電気を電力会社に売る際の売電単価(買取単価)や売電期間などのFIT制度は、発電容量によって変動します。

発電容量と収益性の関係
  • 容量が10kW未満の場合(住宅用に該当)
    ⇒売電単価は10年間一律16円となります。
  • 容量が10kW以上50kW未満の場合(産業用(低圧)に該当)
    ⇒売電単価は20年間一律10円(余剰売電のみ)となります。

※これは2024年度認定のFIT価格です。

発電容量が10kWを超えると、たとえ自宅に設置した場合でも産業用と認定されます。そのため、発電容量が10kW以上か未満かは非常に重要な分岐点です。

家庭用太陽光発電システムの目安は?

家庭用太陽光発電

ご家庭に太陽光発電システムを設置する際、多くの方が選ぶ容量は10kW未満のものです。家庭用太陽光発電システムの主流容量について詳しく解説します。

1. 住宅用の目安容量は?

一般的に、家庭用の太陽光発電システムは3~5kWの発電容量が主流です。これは屋根の広さ(パネルの設置面積)や予算に依存します。屋根が広く、予算に余裕がある場合は、より大きな容量のシステムを設置することで年間発電量を増やすことが可能です。

2. 投資回収の目安は?

発電容量を4kWと仮定した場合、投資回収にかかる期間は約6.5年です。この期間を目安にすると、太陽光発電システムの導入が経済的に有利かどうか判断しやすくなります。

太陽光発電システムの容量選びは、家計や環境に対する大きな貢献となります。正しい容量を選んで、効率的なエネルギー利用を目指しましょう。

50kW未満の太陽光発電には余剰買取制度が適用されます。発電した電力を自家消費し、余剰分を売電することで、日々の電気代を削減しながら売電収入を得ることが可能です。このシステムにより、約10年かけて初期投資を回収することができます。

発電容量が4kWを基準とした場合、容量が小さいほど1kWあたりの導入費用が高くなりがちです。例えば、2kWなどの小容量システムでは費用対効果が低く、初期費用の回収に時間がかかります。

一方、8kWなどの大容量システムでは費用対効果が高くなり、初期費用の回収期間も短縮されます。

上記画像の4kWの費用回収期間を基準とすると、以下のようになります。

  • 4kW未満:費用回収に6.5年以上かかる
  • 4kW超:費用回収を6.5年未満で達成

FIT制度により売電可能な10年以内に元を取ることができれば、その後は完全に黒字になります。もちろん、10年後に卒FITを迎えても売電は可能ですが、FIT適用期間中は高単価での売電収入が見込めるため、この期間が特に狙い目です。

このように、発電容量が大きいほど、短期間での黒字化が可能です。

3.家庭用の発電容量でまかなえる電気量は?

電気を売電できる点に注目しがちですが、年々電気代が高騰しているため、実際には発電した電気を直接使用する方が経済的にお得です。

では、家庭用太陽光発電システムでどの程度の電気をまかなえるのでしょうか?

一般的な4.5kWの発電容量では、1日あたり約14.5kWhの電力を発電できます。4人家族の1日の電力使用量の目安は13~18.5kWhとされているため、電力消費が少ない家庭であれば、1日分の電力をほぼ賄うことが可能です。

家庭用電化製品

しかし、実際に太陽光発電を運用すると夜間は発電できません。

夜間の電気代も節約したい方には、発電した電気を蓄える蓄電池の導入や、夜間の電気代が安くなるオール電化住宅にすることをおすすめします。

発電容量を決める2つの基準とは?

容量を決める二つの基準

最後に、発電容量を決める際の基準を2つご紹介します。

太陽光発電の容量は自由に増やせるわけではなく、以下の2つの条件を考慮して、あなたの住居に適した容量の発電設備が導入されます。

1. 発電システムを設置する面積

発電設備の設置場所となる屋根の大きさや形状が容量を決定します。まずは屋根の面積を基に発電容量の上限を把握しましょう。

2. 導入にかかる費用

容量が大きくなるほど費用も高額になるため、予算との相談が必要です。予算を考慮して発電容量を決めていきましょう。

ただし、先述のように容量が大きいほど1kWあたりの設置費用は安くなるため、費用対効果を優先するなら、大容量の発電設備が望ましいです。

自宅に最適な容量が分からない時は?

事前のリサーチでぼったくり価格を回避!

適切な発電容量が分からない場合は、プロに相談するのが一番です。タイナビでは、複数の太陽光発電業者から一括見積もりを取ることができ、あなたに最適な容量や料金の業者を選ぶ手助けをしてくれます。

太陽光発電の導入を検討している段階でも、適切な容量を把握しておくことは重要です。プロの知見を活用し、賢く判断しましょう。

重要なお知らせ
2024年6月から電気料金の急激な上昇が予想されています。これに対して国は2024年5月末まで電気やガスの料金を補助していますが、その補助は5月末で終了します。

現在、太陽光発電システムや太陽光発電+蓄電池のセット導入を検討するなら、まずはソーラーパネルの設置費用の見積もりを取りましょう。光熱費の節約効果をシミュレーションすることで、より具体的な検討が可能になります。