従量電灯Cとは?
従量電灯Cとは?
従量電灯Cとは、電力会社によって異なる場合がありますが、中部電力、東京電力、東北電力など大手電力会社で採用されているスタンダードな電気料金プランの一つで、契約容量が6kVA以上50kVA未満の、一般家庭よりも多めに電力を使用する需要家向けの電気料金プランです。
契約容量が一般家庭よりも多い以外に、「従量電灯」ですので、従量制(使用する電力量に応じて料金が上がっていくしくみ)を採用しているという特徴もあります。
どんな需要家が従量電灯Cで契約しているの?
一般的には、企業の事務所や商店などの商用施設がこの電気料金プランで契約している場合が多く、一般家庭で従量電灯Cを契約しているのは、普通より電力の使用量が多めな家庭と言えます。
従量電灯Cのメリット
従量電灯Cで契約するメリットは2つあります。
それぞれ、順番にご説明していきます。
使用する電気機器をあらかじめ設定できるので、安心して電力を使える
従量電灯Cの契約容量を決定する際は、詳しくは後述しますが、ほとんどの場合使用する可能性がある電気機器を考慮し、しっかり使っても差支えが無いように計算した値で契約します。
つまり、従量電灯Cで契約していれば、事務所や商店で機械を使用する際に、いちいち容量を気にして電源を入れたり消したりを繰り返す必要がないという事です。
電源を落としてしまうと困る機械がたくさんあり、事務所として利用しているけれども従量電灯Bで契約しており困っている、という方は従量電灯Cに乗り換えることで業務がスムーズになります。
24時間料金が単一で設定されている
従量電灯Cは、時間帯によって電力量料金は変わりません。日中から夜にかけて、様々な時間帯でまんべんなく電力を使う事務所などでは、夜間だけ安く昼間の料金が割高になるプランや、その逆のプランよりも時間帯に関わらず料金が変わらないプランが便利です。
夜中のみ稼働する事務所や商店などであれば、このシステムが逆にデメリットとなってしまう場合もあります。
従量電灯Cの契約容量の決め方
従量電灯Cで契約する際、契約容量の決め方は従量電灯AやBに比べてちょっと特殊です。
契約容量を決める際は、2種類の方法があり、その計算結果を比較して決定することが出来ます。
契約負荷設備により算定
契約負荷設備とは、簡単に言うと使用する電気機器のことです。
こちらの算定方法では、事務所や商店で使用する電気機器がどれだけ電力を使うかを全て足し合わせ、そこに決められた係数をかけて契約容量を決定します。
大手電力会社の東北電力を例示いたしますと、契約負荷設備の電力総容量について、それぞれ以下の数字をかけて計算されます。
電力総容量 | 係数 |
---|---|
~6kVAまで | 0.95(95%) |
14kVAにつき | 0.85(85%) |
30kVAにつき | 0.75(75%) |
50kVAをこえる容量につき | 0.65(65%) |
例えば、使用する電気機器の総容量が18kVAだった場合、以下のように計算されます。
6kVA×0.95 + 12kVA×0.85 = 15.9kVA
この場合、契約容量は16kVAとなります。(小数点以下四捨五入)
主開閉器契約により算定
主開閉器契約とは、メインブレーカー(全ての電気機器を遮断できるブレーカー)の容量をいくつに設定するかによって契約容量を決定するやりかたの事です。
その計算式は、
ブレーカーの定格電流(A) × 電圧(V) × 1/1000
で表されるので、例えば1と同じ電気機器を使用する条件で75Aのブレーカーを200Vで設置したい場合、
75A × 200V × 1/1000 = 15kVA
となりますので、契約容量は主開閉器契約で算定した方が小さくて済むので、この場合ふつうはこちらを採用するということになります。
従量電灯Cの電気料金はどう計算されるの?その内訳は?
従量電灯Cの電気料金は、従量電灯Bと同じ料金構成となっています。
電気料金 = 基本料金 + 電力量料金 + 燃料調整費 + 再生可能エネルギー発電促進賦課金
それぞれの料金について、中部電力の従量電灯Cを例に詳しく説明していきますね。
基本料金
基本料金とは、どれだけ電力を消費したかでは変動しない固定の料金で、契約容量によって決められる料金です。
基本的には、契約容量が多ければ多いほど基本料金は上がり、その分一度に使用できる電力の量が多くなります。
従量電灯Cの基本料金は、中部電力の場合1kVAにつき280.80円と定められています。
電力量料金
電力量料金は、電力の使用量に応じて高くなっていく料金のことで、従量電灯Cでは三段料金を採用しています。
三段料金とは、電力を使えば使うほど電力の単価が上がっていき、それが三段階に設定されている料金システムの事です。
たくさん使えば使うほど料金単価は安くなりそうなイメージですが、1970年代のオイルショックをうけ、電力消費を抑えて石油の需要を抑えようとしたことから導入されたので、省エネの為に徐々に料金が高くして消費を抑えようという考えからこのような料金体系になっています。
電力量料金は2016年3月現在、以下のように決められています。
電力消費量 | 料金単価 |
---|---|
最初の120kWhまで | 20.68円/kWh |
120kWhをこえて、300kWhまで | 25.08円/kWh |
300kWhをこえる量 | 27.97円/kWh |
燃料費調整額
燃料費調整額とは、液化天然ガスや石油、石炭などの燃料費用の3か月間の平均が、基準額よりも多いか少ないかで決められる金額の事です。
基準となる燃料費よりも多かった場合は余分に徴収され、少ない金額だった場合は値引きされます。
燃料調整費=燃料調整単価×電力使用量 といった式で表されます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電力会社が、国から再生可能エネルギーを買取するように義務付けられているので、その費用を需要家に負担してもらうように電気料金に追加している料金のことです。
こちらも、1kWhあたりの料金単価が設定されているので、電力を多く使えば使うほど料金が高くなっていくしくみです。
再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×電力使用量(kWh) で表されます。
以上の条件で、契約容量が15kVA、使用電力量が350kWhの場合の料金を計算してみますと、
電気料金=15kVA×280.80円/kVA(基本料金)+燃料調整単価×350kWh(燃料調整費)+再生可能エネルギー発電促進賦課金単価×350kWh(再生可能エネルギー発電促進賦課金)=12,606.5円+(燃料調整費+再生可能エネルギー発電促進賦課金)
つまり、12,606円+αという金額と分かります。
従量電灯Cの料金のしくみが分かれば、このように計算でだいたいの料金を出すことも可能です。
他にはどんな従量電灯プランがあるの?
一般向けの従量電灯プランは、中部電力のプランを参考にすると他にもいくつかあります。
従量電灯A
使用電力が5A以下の世帯で、定額電灯のプラン(従量制を採用しておらず、電力の使用量に関わらず料金単価が一定の料金プラン)の対象にならない需要家向けのプランです。
従量電灯B
中部電力で最も一般の契約者が多い、一般家庭向けのスタンダードプランです。
従量電灯Cと電力量料金単価は変わりませんが、契約容量が10~60Aの間で契約したい需要家向けです。
タイムプラン(時間帯別電灯)
7時~23時をデイタイム、23時~7時をナイトタイムとして、デイタイムを高めに、ナイトタイムを安めに設定することで、夜間に多くの電力を使用する需要家向けのプランです。
それぞれの時間帯のなかで、電力使用量に応じて従量制が適用されています。
ピークシフト電灯
夏季のうち最も電力消費が多い時間帯をピークタイム、それ以外の時間帯をデイタイムとナイトタイムに設定し、ピークタイムの電気料金を大幅に割高にすることで、ほかの時間帯の電力量料金が割安になるプランです。
ピークタイム(夏季の13時~16時)の間に電力を使わない需要家向けです。
様々な電気料金プランから選ぼう
ここまでで、1つの会社の従量電灯プランだけでも、様々な種類の電気料金プランがあることが分かりましたね。
従量電灯Cという、一般家庭向けの従量電灯Bと似ているプランについても、今まで知らずにブレーカーが頻繁に落ちてしまうことが悩みだった方もいらっしゃるかもしれません。